2016, May 16Update: 2020, Nov 01

海外で働いてみて感じたジョブローテーションの課題

ジョブローテーションについて考えたことをまとめてみます。

みなさんの会社はジョブローテーションってありますか?前職の会社にはありました。数年に 1 度やったこともない部署へ行くことがあります。

もちろん基本的には、人事へ将来のキャリアビジョンを提出しているので、突拍子もないような異動は稀です。

今日はジョブローテーションについて考えたことをまとめてみます。

海外でのジョブローテーション

海外では、ここではシンガポールの話になりますが、ジョブローテーション制度はありません。

少なくともうちの会社のシンガポール支店では。

シンガポール人は自分で新しい仕事を見つけ、転職していきます。

日本のとの違いを感じるところは、会社がやるか自分でやるかの違いだと思います。

シンガポール人や他の東南アジアから来た同僚と話をすると、だいたい 3 年から 4 年ほどで転職をしていきます。

社内にジョブローテーションの制度がないため、仕事内容を変えるためには社内公募制度で他の部署と面接を経て部署異動するか、転職して新たな環境を探すかしかありません。

同僚達は 3、4 社転職をしているのは当たり前で、転職することで昇給し、新たな経験を積むことができます。

ジョブローテーションの一つのメリットとして、複数の違った仕事を経験することにより、一つの仕事をしていたら得られない視野やスキルが身につくことがあると思います。

僕もその部分については賛成で、今までいろんな仕事を任せてもらっていて視野の広がりを実感しています。

シンガポールでの同僚も同じように複数の仕事をすることで得られるものについては理解しています。

理解しているから転職をしていくのです。

自分の進路を会社にまかせるか自分で決めるか

上でも少し述べましたが、海外との違いは会社が決めるか自分で決めるかだと思います。会社に将来のキャリアビジョンを伝えて人事がそれに沿うように異同を決めていく。

一方で海外では自分のキャリアビジョンは自分で管理し自分のタイミングで仕事を選ぶ。

どっちが自分の人生に責任を持っているんでしょうね。

日本の制度は新卒一括採用と長期的な育成計画がないと成立しないと思います。スキルもノウハウも何もない学生を青田買いして少しずつ育てていく。

会社が育てる責任を負って10年くらいのスパンで何回かジョブローテーションさせ、視野の広い人材を育成する。

この環境が整っていないとうまくいかないと思います。

一方で海外はというと大学卒はスペシャリストとして即戦力として採用される。

学生側はインターンシップを経験し、ある程度仕事の進め方を学んで置く必要がある。

採用のされ方も、予め仕事内容が細かく提示され、どの範囲が与えられた仕事なのか契約書に記述される。

範囲を超える仕事をする場合は、都度契約を更新していく必要がある。なので、自分でジョブローテーションをしたい場合は前述の通り、社内公募制度で異動願いを出すか、転職する。

採用時点の制度が違うのでここまで考え方も違うのだと思います。

スピードを求められる今の時代

ジョブローテーションでの育成は時間がかかります。

今の時代のスピード感にあっていないと個人的に思います。

海外は優秀で部分的に必要な人を特定のプロジェクト単位に雇って進めます。

プロジェクトが終わったら雇われた人はその実績をもとに別の会社の別のプロジェクトを求めて転職していく。

プロジェクトに必要な人を即集めて終わったら即解散。会社が育成する義理はありません。いかに早くプロジェクトを立ち上げて他社より早く世に出すかが全てです。

今の日本の大企業が苦戦している理由の一つなのかもしれませんね。(本当のところは数字見ていないのでわかりません。僕の妄想です。)

景気が悪い時も差がつきます。景気が悪い時に日本企業はリストラをすることができずに企業のコアの部分だけに特化して縮小し、景気の回復を待つといった対策が取りづらい。

コストの大部分は人件費です。

景気の波に柔軟にコストカットできる企業とコストカットできずに衰退していく企業、長期的に見るとどちらが安定しているのでしょう。

終身雇用が期待できない日本企業

終身雇用が成立していれば、個人は企業を信頼し、ジョブローテーションでその企業の中で使えるノウハウを身につけ、他の企業と戦ってこれました。

でも、終身雇用は終わりを告げたと言います。じゃあ、いくらジョブローテーションで社内の経験を積んだところで、突然リストラされたらどうするのでしょう。

中年になった時にハシゴを外されるまで待つのか、それともいくつもの会社を渡り歩き、自分で将来を見据えて必要だと思うスキルを身につけ、ある職種でどんな会社でも働ける人材となるか。

どっちが自分にとって納得できるか、今僕は考えています。

終身雇用は終わるのに、新卒一括採用は終わらない。

この二つはセットじゃないと意味がないものだと思います。

でも、別の記事で自分なりに妄想してみたのですが、どうしても新卒一括採用は後、十数年はなくならない。

今、定年間近の権力のある人たちが絶対 GO サインを出さないからです。自分が定年になるまで自分の席を確保しておきたい人が、どうして好んで自分のリスクになることをやるのか。

絶対にやりません。

今までの終身雇用にギリギリあやかって、ギリギリ死ぬまで年金がもらえる世代。

保守的に行かざるを得ません。退職金もらわないと生きていけないでしょうし。

まとめ

言いたかったことは、ジョブローテーションってスピード感なくて時代に取り残されるよねって話でした。

誰かのコラムとかに載っていそうなありきたりな結論になってしまいましたが、海外に来て働いてみて、自分の実感として感じることができたのが大きいです。

本当に海外の人って普通に転職するのねって。

僕も、20代のモラトリアム期間を終えて30代。そろそろ将来のことちゃんと考えなくちゃいけない時期に来ています。

海外の人は大学選ぶ時点で決めていそうですけどね。